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(参考2)

一昨年発表されたEUの「電子財布に関する報告」においては、電子貨幣の発行に伴って受け入れられる資金の性格は預金であるとしている。預金への信頼性の確保に関しては、各国とも、預金受入れ機関の健全性を確保するための特別の検査・監督体制が整備されているとともに、預金保険をはじめとする各種の預金者保護措置が講じられており、上記報告においても、電子貨幣の発行者は、預金受入れ機関又はそれを同等の検査・監督を受ける機関に限定されるべきものとされている。

 

(参考3) 電子貨幣の発行者

政府

銀行等金融機関

一般企業(流通系、ネットワーク事業者等)等

 

?C 電子貨幣導入のためには、電子貨幣の債務者の区分や債務を履行させる方法(預金払戻請求書、小切手、前払証券等)に応じて、民法・商法における対抗要件及び時効等の定め、紙幣類似証券取締法、出資の受入れ、預かり金及び金利等の取り締まりに関する法律等との関係、利用者が保有する電子貨幣に対し、強制執行する場合の手続・方法について整理が必要であり、電子貨幣について、法概念についても一層の検討が必要である。

・ 民商法における対抗要件及び時効の問題

例えば、電子貨幣の債務履行方法が預金払戻請求書とすれば、この行為は、法的には指名債権譲渡にあたり、第三者対抗用件を具備するためには、確定日付のある通知又は承諾を要する(民法第467条)。また、小切手を想定すれば、小切手としての要式具備(小切手法第1条)や支払呈示期間(小切手法第29条)等の問題をクリアする必要があろう。

時効の問題としては、電子貨幣を債権と考えれば、債権の消滅時効10年(民法第167条)、商事時効5年(商法第522条)、小切手の時効6ヶ月(小切手法第51条)等との関係について整理する必要があると考えられる。

 

・ 紙幣類似証券取締法の問題

電子貨幣が紙幣類似証券に該当するのではないかという議論については、「プリペイトカード等に関する研究会」報告書において、「一般的に言って、通貨(紙幣)の機能とは、何処でも、誰でも、何にでも、支払ないし決済の手段として利用できることであると考えられる。……」と大蔵省が見解を示していることから、以下のような場合分けをして考える必要があるのではないか。

−実際の通貨と交換できる場合

−実際の通貨とは交換できないが、ほとんど全ての財、サービスを購入できる手段である場合

 

 

 

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